母親と赤ちゃんの手の写真

最初の子供に起きたこと

私には、今年1歳になる娘がいます。
その子には本当なら兄がいるはずでした。

最初の子供の妊娠中、検診に出向くとエコーで映し出された子供の腹部に3㎝ほどの丸い影が・・・
主治医に紹介状を持たされ、その日のうちに医師会へ行かされました。

 

最初の子供の病名は「後部尿道弁閉鎖(下部尿路閉塞)

後部尿道弁閉鎖は尿路の一部で形成不全(おちんちんの弁や尿道が閉じてしまう)が起こり尿を排せつできなくなる病気です。

▼▼胎児が尿を排せつできなくなることで起きること▼▼

  1. 子宮内の羊水が減る
  2. 逆流した尿が膀胱へ溜まる
  3. 膀胱がいっぱいになると腎臓まで逆流して腎臓が機能しなくなる

羊水が減ることで胎児は圧迫され、呼吸がうまくできずに肺低形成を起こします。
そして逆流して尿が溜まってしまった腎臓は腎不全を起こします。

肺低形成(肺の形成不全)の子供は肺が成長しきっておらず、生まれた瞬間から人工呼吸器などの補助器具を付け生活しなければいけません。
それどころか、たとえ生まれてもすぐに呼吸不全で死んでしまうことも少なくありません。

また、腎不全を起こした腎臓は当然ながら透析が必要になります。

 

診断と説明をしてくれた先生によると、1000人に1人の確率で起こる病気だそうです。
(例えば流産・死産した場合や中絶した場合などにもこの症状が起きているかもしれないことを考えると、発症数はもっと多いかもということでした)

この時、私たち夫婦に出された選択肢は3つ。

『 お腹の子供を諦める 』
『 このまま妊娠を続ける 』
『 尿路閉塞性疾患の唯一の治療術「胎児膀胱羊水腔シャント術」を受ける 』

先生が言うには、エコーで見る限りかなりの量の尿が腎臓に逆流してしまっているとのこと。
この時妊娠20週目で中期中絶は22週目からはできません。

妊娠を続けるにしても生まれる前に呼吸ができなくなって死産になってしまうだろう。
もし奇跡的に生まれたとしても、生まれた瞬間から呼吸器をつけ、透析をしないと生きられないうえ、そこまでしても長くはもたないだろうと言われました。

では3つ目はというと、羊水腔シャント術は東京や神奈川などの大きな都市の病院でしか受けられず、九州の端に住む私達には大きな負担が。
そもそも地元周辺では、腎臓が無事かどうかの検査を受けることすらできない始末。

しかもこのシャント術、症例自体少なければその症例も成功例が少なく(生存率47%、内40%は腎不全)、「それでもどうしてもと言うのなら病院の紹介はするけど」と申し訳なさそうに言われました。

 

発見が早ければもっとやれることがあっただろうかと当時は悩みました。
1か月前には何もなかったのに、と。

ですが、こればかりは予測できません。”あるかもしれない”では、母体が元気ならなおさら、4週に1度しか受診はしません。

しかも発見が早くとも、それほど成功例の少ない手術ではどうなるかわかりません。

 

私達夫婦は、子供を諦める選択をしました。
このまま妊娠を続けても、あるいは手術をしたとしても、子供が辛く苦しい思いをするだけだと考えたからです。

 

胎児の病気もたくさんあります。

直面した家族それぞれの選択はその家族それぞれの考え方や事情があってのことで、どれも間違いではありません。
というより、他人が間違いだなんて言えることではないのです。

もし何かあったとき、どんな選択をするにしても、できるだけ悔いの残らないようご家族で話し合って結論を出されてください。

 

中絶に使う子宮収縮薬は強く、そのため子供は生きて出てくることは少ないと言われていましたが、私達の息子は生きて会いに来てくれました。
とても小さくて可愛い、500gにも満たない男の子でした。

今は静かに、夫の実家の納骨堂で眠っています。

 

先生に最後に言われた言葉が今でも心に残ります。

「300人に1人の胎児が亡くなる。
////無事に、しかも何の異常もなく生まれてくるだけで奇跡」

 


参照
日本胎児治療グループ:https://fetusjapan.jp/method/method-107

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